年々増えている発達障害、または発達障害グレーゾーンの子ども。
今、小学校1クラスのうち5人に1人はグレーゾーンを含む発達障害の子がいると言われています。
保育園や幼稚園ではそこまでとは言わないものの、発達障害のグレーゾーンにある子どもが在籍しているケースは増えています。
その中で、担任の先生も知識や経験がないとどうやってクラス運営をしていけばいいのか悩みの種になっています。
しかし、適切な接し方をすることで、クラス全体の調和を保ちながら、その子どもにも安心できる場所として成長を促すことができます。
では早速、本題に入りましょう!
目次
なぜ接し方が難しいと感じるのか
発達障害のグレーゾーンにある子どもの接し方が特に難しいと感じる理由を考えたことがありますか?
そんなこと言われなくてもわかってるよ!と思う方もいると思いますが、ここを一度明確にさせてください。
発達障害グレーゾーンのお子さんは
- 特定のルールを理解しづらい、
- そのルールに従うのが難しい
という特徴があります。
集中力がなかったり、こだわりが強かったり、気持ちの切り替えが難しいことで、上記の2点の問題が起こります。
こうなると、他の子どもたちにも影響が及び、活動が進まなくなったり、雰囲気も悪くなることもありますよね。
ここは本当に担任の先生にとっては死活問題です。
しかし逆を言えばこの原因を極力なくす接し方をすることで、子どもたち全員が安全かつ支援的な環境で過ごすことができます。
様々な接し方があるのですが、今回はADHD傾向があるお子さんを例にした接し方を紹介します!
なかなか座ることができない4歳の男の子の例
保育士のAさんは、4歳の男の子T君が他の子どもたちと比べてじっとしているのが苦手で、常に動き回っていることに気づきました。
T君は特に集団活動の時間に落ち着きがなく、動き回ったり大きな声を出すこともあり他の子どもたちの集中を妨げることがありました。
Aさんは、まずT君の行動を観察し、その行動がどのような状況で起こるのかを記録しました。
観察の結果、C君は特定の時間帯や状況で特に落ち着きがなくなることが分かりました。
そこで、Aさんは以下のような具体的な対応策を実施しました
接し方1:視覚的な分かり易さ
観察の結果、T君はどのくらい座っていたらいいのかや、作業をしたらいいのかがわからないと落ち着きがなくなり動き回ってしまう傾向がありました。
そのため、次に何をするのかを視覚的に理解できるように、絵や写真を使ったスケジュールを作成しました。
これにより、T君は次の活動を予測しやすくなり、落ち着きを取り戻しました。
接し方2:短い活動と休憩の組み合わせる
視覚的にわかりやすいスケジュールを作り落ち着きは戻ってきたものの、T君が集中できる時間は他の子よりも短い傾向があるようです。
そのため、短い活動と休憩を交互に組み合わせるスケジュールを導入しました。
さらに体を動かす(動)→絵本の読み聞かせ(静)→制作をする(動)というような静かな活動と動きがある活動を繰り返すことも効果的だということがわかりました。
こういった配慮をすることで活動に取り組みやすくなり、エネルギーを発散する機会も得られました。
また、クラスの子の集中力も上がったといいます。
接し方3:個別の支援
T君が特に苦手とする場面では、Aさんがそばに付き添い、個別のサポートを提供しました。
例えば、手を繋いで落ち着かせたり、クラス全体に伝えた後にT君に簡潔な指示1つずつ伝えるなどの方法を取りました。
これらの対応策により、T君は徐々に落ち着きを取り戻し、集団活動にも参加しやすくなりました。
さらにクラス全体も落ち着いた雰囲気になり、他の子どもたちも安心して活動に参加できるようになりました。
発達グレーゾーンの子の接し方の考え方
上記の例を参考に発達障害のグレーゾーンにある子どもの適切な接し方の考え方5つをお伝えします。
発達障害グレーゾーンの子はそれぞれ特性を持っていますが、基本的な考え方として覚えておきましょう。
- 観察と記録
- 分析
- 適切な対応策を考える
- 対応策の振り返り
- 保護者との連携
です。
1つづつみていきましょう!
観察と記録
対象となる子どもの行動を注意深く観察してみましょう。
実際に起こっている行動の前後の状況もみておくことが大切です。
具体的な行動やその頻度、起こるタイミングなどを詳細に書き留めて記録しておきましょう。
例えば、
<活動と活動の間に癇癪を起こす>
<前後にあったこと>
自由遊びの際、全体に終了の時間を伝えた。その際、電車のレールをつなげて遊んでいた。
終了時間になりおもちゃを片付け始めた際、「終わりだよ」と声をかけたら癇癪がおこった。
という感じです。
分析
記録したデータをもとに、行動のパターンがあるのかを分析します。どの時間帯や状況で行動が発生しやすいかを把握します。
上記の例で言うと
・おもちゃの片付けの時に癇癪を起こす
・電車で遊んでいる時にその頻度が多い
などです。
適切な対応策を考える
その子の特性に合わせた対応策を検討していきます。視覚的スケジュール、短い活動と休憩の組み合わせ、個別の支援など、具体的な方法を取り入れることを検討していきましょう。
先ほどの例で言うと
・おもちゃの片付けの時に癇癪を起こす
→時計に終了の時間の印をつけておいたり、終了時間を掲示しておく
→全体に終了の時間を伝えた後、個別にもう一度伝える。
→終了時間の近くになったら、「もうすぐ片付けの時間になるよ」と伝える
・電車で遊んでいる時にその頻度が多い
→終了時間が近くなったら「このレールをつなげ終わったらお片付けの時間になりそうだね」と見通しがわかりやすい言葉掛けを行う
→それでも片付けの時間を過ぎても遊んでいる場合は、遊びたい気持ちに共感しつつ、「おもちゃのお部屋に戻す時間だよ」と区切りをつけれるような声かけを行う。
などの対応策が考えられます。
考えた対応策の中から取り入れやすいものから試してみましょう。
振り返りをする
試してみた結果を振り返り、必要に応じて調整していきましょう!
子どもの反応や行動の変化を観察し、最適な方法を見つけるための試行錯誤を行います。
1回で全てがうまくいくことはほとんどないです。
また、同じ方法でも今回は大丈夫だったけど、次はダメだったと言うこともあります。
ですが、やってみることで、これでダメだったらこうしてみよう!と言うのが見つかります。
トライ&エラーでどんどん試してみましょう!
保護者との連携
ここが一番重要で難しいところかもしれません。
なぜなら、保護者は保育園での姿を実際に見ていないですし、家と園での姿が違うこともあります。また、発達に個性があることをすんなり受け入れられない保護者の方もおられます。
しかし、保護者に子どもの状況や対応策について情報を共有し、家庭での協力をお願いすることも重要なのです。
保護者との連携を通じて、子どもが一貫したサポートを受けられるようにします。
伝え方が難しい場合は、園長先生や主任の先生、先輩保育者に相談してみましょう!
まとめ
発達障害のグレーゾーンにある子どもの接し方は、具体的な観察と適切な対応策を取り入れることで、クラス全体が落ち着き、グレーゾーンのお子さんも個性と理解してくれる大人のもと安心できる場所となります。
難しい場面もたくさんあると思いますが、保育士さんが積極的に取り組むことで、子どもたち全員が安全かつ成長を促していける環境で過ごすことができます。
ぜひ参考にしてください!